おとなの読書感想文

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生涯で最も美しい決断ー 『海賊と呼ばれた男 下』百田尚樹

 

 

※『海賊と呼ばれた男 上巻』の感想はこちら

男は、信念を貫いたー『海賊と呼ばれた男 上』百田尚樹 - おとなの読書感想文

 

四面楚歌。

 

敗戦から2年、国岡商店を待ち受けていたのは、まさにそう称するべき苦境でした。

 

当時、「七人の魔女」と呼ばれ業界から恐れられた、7つの石油会社がありました。

それらはすべて欧米列強の会社であり、圧倒的なシェアを盾に石油業界を牛耳っていました。

敗戦国である日本の石油会社は「七人の魔女」に業務提携を迫られ、たちどころに経営権の大部分を彼らに受け渡していきました。

 

そんな中、頑として「民族経営」を貫いた会社がありました。

 

国岡商店。

 

日本の石油産業を外国に牛耳られまいと、闘うことを決めた唯一の会社でした。

「石油産業を支配されるということは、日本の経済を支配されるということである」と訴え続けた国岡は、欧米を中心とした国際石油カルテル、そしてそれらのカルテルと提携を結んだ日本の石油会社の、目の敵となっていきました。

 

 

そんな国岡商店には、ある極秘計画がありました。

それは、「イランの石油を購入する」こと。

当時イランは有数の産油国でありながら、その石油はイギリスの占有下にあり、石油の恩恵はほとんどイギリスに搾取されていました。そのためイランから直接石油を購入することは、イランの石油をほしいままにしていた大英帝国の逆鱗に触れる可能性があったのです。

世界はイランがイギリスに搾取されていることを知りながら、見て見ぬふりをしていました。国岡商店は、この状況に一本の矢を放たんと、綿密に計画を進めていたのです。

 

その矢は、搾取による貧困に喘ぐイラン国民への救済であり、同時に、国際石油カルテルという巨大な壁を打破する唯一の策でした。

四面楚歌の国岡商店にとって、背水の陣で挑む闘いが始まったのですーー。

 

 

闘いは、想像を絶する苦難の連続でした。

 

鐵造は、ときに敵の裏をかき、ときに死を覚悟し、

絶体絶命の土俵際を闘い続けました。

 

日本の石油産業を守る。

そんな彼の信念が、どれほど強固なものであったか。

 

彼は闘いのさなか、とある決断をくだすことになりますが、

彼の信念と覚悟に裏打ちされたその決断がくだされたとき、私は鳥肌が立ちました。

その瞬間のことは、重役である東雲の目線でこのように描かれています。

東雲は今、国岡鐵造という一代の傑物の、生涯で最も美しい決断の瞬間を見た、と思った。

 

 

四面楚歌からの逆転に挑む国岡鐵造。

日本のために闘った1人の男の物語です。