おとなの読書感想文

恋愛小説から自己啓発まで。26歳OLの読書感想文。

人はなぜ、働くのかー 『MISSION 元スターバックスCEOが教える働く理由』岩田松雄

 

 

本書では、著書・岩田氏と、スターバックス創業者・Howard Schultzのある会話が、冒頭と中盤で2回出てきます。

 

それは、岩田氏がスターバックスコーヒージャパンCEOの最終面接を受けに行ったときのこと。

「で、あなたはスターバックスに何をもたらしてくれるんだ?」

「自分には、商売の感覚があると思う。(略)」

「商売の感覚って言うのは、つまり、”スメル”のことだろ?」

ああ、私の感覚が通じた!と、岩田氏は嬉しくなったといいます。

 

この会話をきっかけに彼らは意気投合し、岩田氏はスターバックスコーヒージャパンのCEOに就任することに。

 

この本の良いところは、冒頭ではわからなかったこの会話の意味が、中盤で再び目にしたときにはすっかりわかるようになっているところです。

まるで、ページをめくるごとにパズルのピースを埋めていくような感覚。

 

企業には本質的な価値を生む瞬間が必ずあり、著者はその瞬間のことを「火花が散る」という言葉で言い換えています。

もちろんその瞬間は企業によって異なり、スターバックスであれば「できあがった最高のコーヒーを、自信を持って笑顔でお渡しする瞬間」、THE BODY SHOPであれば「好みの商品を選び、喜んでお金を払ってくださったお客様を、笑顔で気持ちよく送り出す瞬間」です。

でも、ただそれだけじゃない。「火花が散る瞬間」は、さらに「人を感動させる瞬間=お客様の期待を大きく越えた瞬間」とも言い換えられています。スターバックスの目の前で事故が起き人々が騒然としているとき、コーヒーを無料で配りにいった店員のエピソード。「スターバックス・エクスペリエンス」(スターバックス版「火花が散る」の言い換えです)として伝説のように語られることで、他のコーヒーショップと一線を画し、スターバックスを唯一無二のブランドたらしめている。

 

では企業はどうしたら、人々の期待を大きく越え、感動を生み出すことができるのでしょうか。

岩田氏は、ミッションこそが重要であると主張しています。

 

ミッションとは、何のために働くのか?どこに向かってビジネスをしているのか?という問いに対する答え。

スターバックスであれば「人々の心を豊かで活力あるものにするためにーひとりのお客様、1杯のコーヒーそしてひとつのコミュニティから」。THE BODY SHOPであれば「社会と環境の変革を追求し、事業を行うこと」。

社員ひとりひとりがミッションを意識し、理解し、考えているからこそ、「できあがった最高のコーヒーを、自信を持って笑顔でお渡しする瞬間」に火花が散り、ときにはスターバックス・エクスペリエンスが生まれる。人々の心を動かす。そんな積み重ねが、企業価値そのものを高めていく。スターバックスコーヒージャパンCEOの最終面接で、岩田氏とHoward Schultzは、こんな感覚を共有していたのではないでしょうか。

 

著者は冒頭で、「火花を見ようと意識している人だけが本質的な価値を生む瞬間がいつなのかを、はっきり見いだすことができます」と明言しています。

大切なのは、何のために働くのか?どこに向かってビジネスをしているのか?と常に自問自答すること。 

 

「何のために働くのか?」

 

パズルを完成させると、こんなシンプルな問いかけが自然と浮かび上がってくる。そんな一冊です。